杏のソーダ割り


グラスの底 厳かに

氷を3つ沈めたら

夕焼け色と雨粒を

そっと注いでかき混ぜる

 

こんなに苦くて辛いなら

恋なんてもうしない とか

そう泣きながら もう一杯

一対一のソーダ割り

 

こんな夜があったと 思い出す日が来るの?

甘いはずのお酒が 大人の味

 

グラスは涙もろくて

拭いても曇って泣くばかり

温くなって 気が抜けて

味がしなくなるまでは

 

電気を消して目を閉じる

大丈夫 きっと あんたなら

きっと すぐ前を向けるでしょう

忘れることはないけれど

 

そんなこともあったと ふと思い出したの

気づけば長すぎた青春の味

 

こんな夜があったと 思い出す日が来るの?

甘くて土砂降りの夕焼けを飲み干した

 

そんなこともあったと ふと思い出したの

恋なんてもうしない

そう言って もう一杯

大人もどきの青春の味